~前の会社辞めて1年~人生詰んだ「落ちこぼれ社会人」の物語

この物語は

 

人生のレールから

今にも外れそうな

「落ちこぼれ社会人」の

 

もしも…

の物語です。

前の会社はブラック企業でした。

 

上司のパワハラ、

長時間労働に耐えきれず、

20代後半で前の会社を辞めて、

そろそろ1年が経ちます。

 

アニメとゲームばっかりの1年です。

 

さすがにそろそろ

「転職活動」という文字が頭にちらつきます。

 

しかし、私は

「逃げる」という選択をしてしまいました。

もし転職活動から逃げたら


親の小言が嫌で

ずっと部屋にこもっています。

 

転職活動しないといけない

という思いはありますが、

前の会社のトラウマが蘇り、

たったの一歩を踏み出すことができません。

 

ご飯は母が部屋の前に用意してくれます。

ここにはなんでもあります、

アニメ、漫画、ゲーム。

1日はアッという間に過ぎます。

 

何十年か経ちました。

 

大きな音がして部屋を出てみると、

母がリビングで倒れています。

咄嗟に父を探しますが、どこにもいません。

 

そういえば、何か月か前、

父が痴呆症になったと

母が部屋の前で言っていたことを思い出します。

 

玄関を見ると、鍵が開いていました。

 

「徘徊」

 

私はどうすればいいのでしょう。

 

救急車……

電話のかけ方なんて忘れてしまっています。

 

電話をかけられたとしてその後は?

 

母は助かるのでしょうか。

もし助からなければ、

どうすればいいのでしょう。

 

いつの間にか涙があふれ出ています。

それでもなにもできません。

 

なにもできず立ちすくしています。

 

なんせ、

何十年も引きこもっていたのです。

 

もう生き方なんて忘れています。

私にはなす術がありません。

 

「絶望」

もしフリーターになったら


布団から飛び起きます。

 

「はぁはぁ」と荒い息をつき、

自分の手を見ます。

 

シワのない若い手でした。

 

長い長い夢をみていたようです。

 

なんの夢をみていたか

思い出そうとしますが、

泡のように消えていきます。

 

「絶望」

 

私の胸の中に残った大きなものです。

 

なんとか

夢のかけらを拾い集めることはできましたが、

今の私の記憶は

会社を辞めて1年経ったころに戻っています。

 

「働こう、でも正社員はイヤだ」

私はフリーターとして働き始めます。

 

父と母はとても喜んでくれました。

 

私が働き出して運命が変わったのか、

何十年か経った後も

父は痴呆症になることなく、

母と一緒に看取ることができました。

 

母も私を心配しながら

その何年後かに亡くなります。

 

それからさらに十数年が経ち、

私は今、

窓から外を見ています。

 

空がとても青いです。

 

フリーターとして働けるだけ働きましたが、

もう満足に働けなくなって、

今は年金暮らしです。

 

今まで生活にせいいっぱいで、

貯金はありません。

 

電気代を節約するため、

テレビのコンセントは

何年も抜けたままです。

 

年金は2か月に1回です。

 

支給された日は少しだけ贅沢しますが、

その日以降の食事は日に2回です。

 

1か月半後ぐらいから1回にしています。

 

それでも2か月は持ちません。

ご飯を最後に食べたのは

もう3日も前です。

 

「あぁ、お腹、空いたな」

 

空はどこまでも青く透き通っています。

もし正社員になったら

目を見開きます。

 

ゆっくりと布団から体を起こします。

前にもこんなことがありました。

 

私は必死で、本当に必死で、

夢の記憶をかき集めます。

 

「絶望」「空腹」

 

私は必死で転職活動しました。

 

ブランク1年は、正直きつかったですが、

なんとかある会社に就職することができました。

 

良い人とも出会うことができ、

子どもも生まれます。

 

子育てなんてしたことなかったから、

とても苦労しました。

 

父と母は、

孫がいたからか

前よりずっと長生きしてくれました。

 

私も大変な、

そして充実した人生を歩めました。

 

今は年老いて病院にいます。

 

ようやく最期まで生きられるようです。

 

前と違って、

私の周りにはたくさんの人がいます。

 

これまでずっと横にいてくれた人、

子ども、子どもの奥さん、孫。

 

贅沢をいえば、孫ともっと一緒にいたかったです。

 

ふと病室の入り口を見ると、

父と母が立っていました。

 

そして、その横に

笑顔の2人の自分が立っていました。

あなたに伝えたいこと

ふと気づくと白い部屋にいます。

 

見上げると何人もの人が、

四角い画面から私を見ています。

どうやら私にもまだ役目があったようです。

 

「ブランク1年で転職活動は辛いですよね」

 

「今は引きこもろうと思ったら、引き込める時代です」

 

「案外楽に思えますが、その人生は空虚なだけですよ」

 

「どうか」

「どうか今すぐ行動してください」

 

「あなたの人生が『いい人生だった』

 と思える生き方をしてください」

 

体が光に包まれて少しずつ消えていきます。

 

本当に最期のようです。

 

それでは、皆さんの人生に幸あらんことを。

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